CEATEC 2023が10月17日～20日の4日間，幕張メッセで開催された．684 社/ 団体が出展し，海外からも21カ国/ 地域が出展した．4日間の来場者は89 , 047 人で前年に比べて9 .1％増えた．電気電子業界以外からも大手ゼネコン，鉄道事業者，高速道路会社，研究機関，地方都市や多くのスタートアップ企業の参加があり，エレクトロニクス技術が世界や日本の産業を牽引していることを示していた．

●超低消費電力で通信量も削減できるエッジAIカメラ

Acculus は超小型・超低消費電力のエッジAIカメラを展示．AI認識処理を内部で行い，人密度測定や通行人カウント，年齢/性別，顔向き推定，顔認証などの結果を出力するのでカメラから上位装置への通信のスピードアップやデータ量を大幅に減らせる．バッテリで駆動できるため，従来では設置困難な場所にも対応．

● 新しい製法のフレキシブルプリント基板〈経済産業大臣賞〉

エレファンテックは金属インクジェット印刷によるフレキシブル基板を量産可能にしたスタートアップ企業．必要な部分にだけ金属を印刷することにより，従来のエッチング法と比較して銅の使用量を70％，水使用量を95％減らした．さらに，CO2排出量も75％削減しコストダウンも実現した．国内メーカのウルトラワイドL C D モニタや梱包容器のエアリークテスト装置に採用されている．

● 女性特有の体のリズムをIoTでサポート

神奈川工科大学 管理栄養学科 澤井明香研究室は，女性の体温を負担なく高精度で自動計測し，毎日の変化をグラフ化してスマートフォンに表示する下着装着型温度センサを紹介．TOPPANエッジから購入可能．社会で輝く女性をエレクトロニクスが支えている

●測定の自動化で繰り返し測定を簡単に

キーサイト・テクノロジーはプログラミング不要で簡単に自動計測ができるBenchVue ソフトウェア・プラットフォームを展示．基本プラットフォームは無料で，個々のアプリケーションを使用するためには各プラットフォームをインストールする．アプリケーションによってはライセンスが必要になる場合がある．対応測定器は700 種類を超え今後も追加の予定．自動で繰り返し測定が可能で，機器の設定，データ保存などの作業をP C から操作できる．

● 無線でピコ秒同期を可能にした技術 Wi-Wi

新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO ）は無線通信を介してピコ秒精度で時刻同期できる技術「Wi-Wi 」を開発．精度はGPSの30nsから10nsに，時刻ジッタも同30nsから10psと大幅に向上した．高精度かつ簡易に時刻同期ができることで，建設機械やロボット間協調動作など，多数のデバイス間で高度な連携が可能になる．

● 工事不要の無線電流センサ

泰興物産は東京高専水戸研究室と共同で開発したC3lessセンサを展示．非接触・工事不要・電池交換不要の無線電流センサで，ゲートウェイ経由でクラウドやローカル・ストレージにデータを保管できる．西松建設とMode Inc.が共同開発した「Ne wt」に採用されている．

● 電子部品からシステムまで幅広い製品

太陽誘電は積層セラミック・コンデンサやインダクタ，太陽電池などでおなじみのメーカ．アクチュエータやにおいセンサ，セルラー系LPWA 無線モジュールに加え，河川の水位や橋梁のモニタリング・システムも扱う．今回は短時間で簡単にIoTを構築できる，IoT ソリューションsソリオットolio t を展示していた．

＜武田洋一＞