あらゆる業界や産業に欠かせないエレクトロニクスを，さらに発展させるデジタル・イノベーションの総合展「CEATEC」が2024年10月15日～18日の4日間，幕張メッセで開催された．延べ来場登録者は前年比25.8％増の112,014人．出展社は124社増の808社，その内新規出展者は340団体，海外出展者数は25か国/ 地域より158社/ 団体だった．
1962年に日本電子工業展として始まり，1964年にエレクトロニクスショーに改称．2000年にCEATECに生まれ変わって24年．かつては電子機器や電子部品の展示だったが，最近はモノからコトへの転換をみるように，国や都道府県の研究機関や業界団体，大学の研究室，インフラ会社，コンサルティング会社，そしてスタートアップ企業など幅広い出展だった．またJapan Mobility Show Bizweek2024とも併設されたことにより，未来のモビリティにもエレクトロニクスが必須なことを新たにした．
DS2001は対向する誘電体との距離変化に応じて発振周波数が変化することを使用して，積算値をデジタル出力する．コイル状のセンサ・ヘッドと誘電体の距離をナノメートル・レベルの高分解能で検出でき，サブマイクロメートルの繰り返し精度がある．アルミニウムや銅などの非磁性金属にも，金属箔やメッキにも反応する．距離測定用IC の出荷数は延べ150万個を超える．京都大学3.8m望遠鏡にも採用され，鏡のずれを50nm以内に調整するために使用されている．制御IC搭載のモジュールも販売しておりカスタムにも応じる．
水中で無線通信を実現するために，電力線通信のNessum（旧 HDPLC）を活用した．クロック・レートを遅くして伝送周波数を1MHz以下にすることにより，4m以内で1Mbps以上を実現．ドローンを中継局としてマルチホップ数10段以上，通信距離10m以上を実現する．
今回の研究ではインターネットと携帯電話の通信網を利用し，沖縄の海中の映像を福岡で見たり，福岡での操作が沖縄の海中で動く実証実験を紹介していた．海中や水中でIoTが実現できると，洋上風力発電のメンテナンス，護岸のリモート管理，海中土木作業や養殖などへの展開が見込める．受託者は九州工業大学とパナソニック．
従来のWi-Fiと比較して最長1kmの長距離伝送が可能で，高速な通信が可能なWi-Fi HaLow（ IEEE802.11ah）の通信ボードを発売．Arduinoシールドは設定や開発の手間がなく，UART経由でATコマンドを送信することで，アクセス・ポイントへの接続やデータ送信が可能である．標準ボードはドータ・ボードが搭載できるため，アプリケーションに応じて開発することで開発コストを抑えられる．
数Mbpsの通信ができるので，今までのLPWA では対応できなかった動画伝送もでき，広大な工場や倉庫，屋外など様々なシーンで活用が期待できる．
半導体検査装置治具に使われるプローブ製造のノウハウを活かし，従来比60％の世界最小のスプリング・コネクタを開発．複数列でグリッドに配置した多極SMTタイプ・コネクタでは，ピン径Ø 0.195，チューブ径Ø 0.35，定格電流1A，接触抵抗50mΩmax.で挿抜耐久性は2万回．40Gbps対応の防水スルーホール・コネクタはUSB4に対応し，EMIに配慮した金属製ハウジングを使用し防水性はIPX7．
RYODENは，Atomosic社の超低消費電力BLE5.3 SoCや自社開発のモジュールを取り扱っている．中でもBLE SoC ATM3325を搭載したモジュールは消費電力が50nA（RTC以外を停止時）と際立つ．モジュールは12mm角で，消費電流2.5mA（送信出力0dB時），受信時1.4mA（-95dBm），RTC稼働・ATM3325シャットダウン・MCUソフトスタンバイ時のスリープ時は250nA．
低消費電力の優位性を活かして，エナジーハーベスティングに対応した評価キットも準備．DC-DCコンバータや充電用コンデンサを内蔵で，太陽電池や圧電素子などの発電デバイスが接続でき，コイン型リチウム・イオン2次電池EnaCera（日本ガイシ）を搭載．エナジーハーベストIoT機器の開発や電力効率が重要なアプリケーションに最適である．Arduinoシールドにも対応．
ライター：武田洋一
Show Reportの内容は展示会で取材したものです．詳細は各社発表の情報をご確認ください．
