6 月12 日~14 日,今年で38 回目となった「画像センシング展」が 横浜パシフィコで開催された.テーマは「未来をつくるセンシング技術」. 人口減による人手不足や円安による一層のコスト・ダウンに画像処理機 器やセンシングは有効な方法の一つで,今後ますますエレクトロニクス と共に発展していくと感じた.国内外の画像処理機器やセンシング技術 の会社が集まり,135 社の展示,のべ10,464 人の来場があった.
Demeking Measure Serviceは特殊な機材や足場/架台を必要とせず,スマートホンやドローンの映像や写真から,低コストで長さや広さを計測できる( 3 , 500 円~ ).3 D 空間計測が可能なため,実物では計測不可能な対角線も容易に計測できる.物体や人体,空間はもちろん,神社仏閣や教会などの歴史的な建築物,倒壊した建物などの計測も可能.
提供した動画から高品質な3 D モデリングを作成するD e m e k i n gResearch 3Dというサービスも行っている(3,000円~ ).
イベントベース・カメラは,明暗の変化があった画素だけのデータを非同期に出力するため動かない物体(道路/ 建物/ 停車中の自動車)は感知せず,動く物体だけを確実に捉える.最小時間分解能が短く,高ダイナミック・レンジ,データ量が圧倒的に小さいなどの特長がある.C/CSマウントでUSB 3 . 0 インターフェースのカメラ・ユニットや,超低消費電力で組み込み用のボード・カメラも揃っている.
一般的なR G B カメラは3原色で肉眼を再現するのに対して,特殊なフィルタを用いることでわずかな色の違いから素材や状態を可視化する.肉眼では見えない水や有機物の同定が可能.表面欠陥や異物,状態の識別,素材や成分の違いの識別もできる.食品業界では傷んでいる材料や異物の混入,不完全品の自動排除,塗装業界では塗装不良や錆の検出,素材劣化の判断が可能になる.ディジタル・カメラ技術との融合や,AI 画像分析ソフトウェアとの連携をすれば,業界や現場ごとに高精度で高タクト・タイムの処理が可能になる.
ケイエルブイでは,ハイパースペクトル・カメラを用いた測定システム・モデルを幅広く提案していた.食品業界での品質検査/ 異物除去,プラスチック選別,医薬品業界では品質検査/ 成分分別,産業廃棄物処理業界では解体廃棄物の分類,資源探査での鉱物の分類,環境モニタリングや精密農業など.撮影したカラー画像を解析するために,多変量解析ソフトウェアや機械学習など用途に合わせたソフトウェアの提案が可能.
タブレットと組み合わせ,近赤外線分光法によってプラスチックの材質を判別できる山本製作所製の「ぷらしる」は,プローブをワークに当てるだけで,手軽に12種類のプラスチックを判別できる.
DPN 2011B は画面で点滅するLED をカメラで撮影して観測することで,離れた場所での映像の遅延を測定できる.トリガ信号と専用ソフトウェアにより遅延時間の自動取得やデータを記録する.インターネットによる映像伝送はインターネット会議や音楽配信によりビジネスに欠かせないツールとなった.これからのDX 時代に映像伝送はさらに進み,機械の遠隔操作やヘッドウント・ディスプレイでは,今まで気にならなかった映像の遅延が問題になる.
大容量・超低遅延の光ファイバ専用網の構築や光送受信用ハードウェアの開発なども行っている.
同社のCMOSカメラは自社開発/日本製が特長で「はやぶさ2」に搭載されて探査ミッション成功に大きく貢献した.インターフェースはパラレル/MIPI/USB2.0/USB3.0と豊富で,画素は30万画素/フルHD/4K.レンズを含めた相談ができる.
4眼マルチスペクトル・カメラPiTOMBOは,1つのカメラで4 種類の異なる撮影条件の画像を1 枚の画像として撮影できる.ラズベリー・パイ環境をそのまま使用できるので敷居が低く,システム展開も容易.
PHASERAYは,ICのレーザ・マーキングがくっきり見え,はんだ付けのフラックスのぎらつきを除去できる照明技術.医療照明の技術から誕生し,目視やマシン・ビジョンを阻害するグレアを軽減し,液中では気泡だけを除去できる.今まで見えなかった傷や欠陥が見えることで作業員の負荷軽減ができ,画像処理ではソフトウェアの処理が減ることで,検査装置のポテンシャルを引き出せる.
Eco cameraは,メガネのつるに取り付けられる単3乾電池間.Cloud Viewサービスを利用すればスマホ経由でL IVE画像や撮影済みの画像をアップロードできる.バッテリ容量やカメラの変更,A I連動アプリの開発などのカスタマイズも行っている.サイズのカメラ.Android スマホにBluetooth で接続し,動画+音声の記録/静止画の保存/音声のみの記録をアプリから選択できる.カメラ解像度はQQVGA/QVGA/VGA.FOV視野は60°.稼働時間は動画モードで1時間.Cloud Viewサービスを利用すればスマホ経由でLI VE 画像や撮影済みの画像を アップロードできる.バッテリ容量やカメラの変更,AI 連動アプリの開発などのカスタマイズも行っている.
ライター:武田洋一