日本最大のIT・DX分野を網羅する展示会
Japan ITWeek春2024(その1)

日本最大のIT・DX分野の網羅を標榜する展示会「Japan IT Week春」が2024年4月24日~26日,東京ビッグサイトで 開催された.ソフトウェアやアプリ開発,IT運用管理,AI・業務推進から,メタバースやEC/店舗など12の展示会を併設した 総合展で,エレクトロニクス分野では組込み/エッジコンピューティング展とIoTソリューション展があって,海外からの出展 社や来場者も多かった.3日間の合計来場者数は53,916人.

 

●スピーカ技術を応用した振動製品(フォスター電機)

スピーカでおなじみのフォスター電機は,音響変換技術を応用したアクチュエータや振動スピーカを製品化. アクチュエータは,ゲーム機のコントローラに採用され,リアルな振動を表現している.形状も平型,円柱と矩形があり振動特性によって選択できる.
振動スピーカは,スピーカとバイブレータの2つの機能を1つで行える.カーナビのタッチパネルでは明瞭な音声と振動モータでは実現できない表現豊かなバイブレーションを実現している.

 

●マルチホップと同時送信が特長のIoT無線規格「UNISONet」( SONAS)

UNISONet は同時送信フラッディングという独自の転送技術を用いている.他の規格と比較して同時接続台数/時刻同期/ロスレス/通信速度/ 信頼性/ 双方向性が優位で,軽いデータから画像伝送までこなせる.UNISONet を使用したセンサ・ユニットとして,振動/傾斜/ アナログ入力/ 接点をラインアップ.計測システムを容易に構築できる.BLEブリッジを併用すれば他社製のBLEセンサも取り込める.鉄道や電力会社,ゼネコンへの導入実績も豊富.

 

●モーション・コントロールをデバイスからターンキー・ソリューションまで提供(アナログ・デバイセズ)

Trinamic社は2004年ドイツで設立,2021年にアナログ・デバイセズに統合された,モータ制御用デバイスやモジュールのメーカ.ハード・ワイヤード・アーキテクチャのモーション・コントロール・デバイスにより,ステッピング・モータやBLDCモータをレジスタ設定だけで制御でき,センサレスによる脱調検知や負荷検知,自動電流制御による省電力化,可聴音騒音の低減ができる.展示会では水が入った広口のシャンパン・グラスを,正弦波速度制御のリニアスライダで左右にスムーズに動かしていた.評価ボード・システムやモジュール類も充実.

 

●ソニー独自技術でIoTを支える2つのサービス(ソニー)

ELTRESはソニー独自の920MHz 帯無線通信を使ったネットワーク・サービスで,安定な通信と見通し100 km 以上の通信距離を誇る長距離伝送で,低消費電力,時速100km/h以上の高速移動体対応,GNSS 標準搭載などの特長がある.基地局へは上り方向の通信だけだが,MQTT Publisherのゲートウェイ・サービスまでが準備されているので,全国的なサービスの実現が容易.

MEEQ は3 キャリアに対応したSaaS 型IoT プラットフォーム.センサ向けに月間10 M バイト以下から,監視カメラのような月間40 Gバイトを超えるデータ量にも,そして閉域サービスでは複数キャリアを1つの網に入れることがノーコードで可能.コンソールも充実している.

 

●インターネット・オフロード・デバイス(WIZnet)

W 55 RP 20は,ハードウェアでの有線TCP/IP・MAC/PHY処理SoCであるW5500に,Raspberry Pi PicoのRP2040と2MバイトのFlashメモリを内蔵したSiPデバイス.TCPオフロード・エンジンとRP2040によりEthernetにつながるIoTデバイスを容易に実現できる.
W 6300 は,TCP オフロード・エンジンのW 5500 を改良し,有線TCP/IPコアを内蔵したSoC.80Mbps以上のネットワーク・パフォーマンス/ デュアルIPv 4 /v 6 スタック/QSPI ホスト・インターフェースと共にW 5500 の2 倍のバッファを内蔵している.チップ・サイズは7mm角と小型でコンパクトな機器が実現できる.

 

ライター:武田洋一