アジア最大級のエレクトロニクス開発・実装展
ネプコン ジャパン(その1)

1 月24 日~26 日,ネプコン ジャパンが東京ビッグサイトで開催された.エレクトロニクス機器の多機能化・ 高性能化を支える世界最先端の電子部品・材料や製造・実装・検査装置が展示され,国内外のエレクトロニクス, 半導体,センサ,電子部品,自動車,電装品メーカとの商談の場として定着している.今年はオートモーティブ ワールド,ウェアラブルEXPO,Factory Innovation Week 2024,スマート物流EXPOが同時開催され,延 べ77,744名を集め,特に海外からの来場者が大変多かった.

 

●車載向け突入電流対策サイリスタ (STマイクロエレクトロニクス

自動車のEV化が進みインバータも大容量化している中,電源投入時の突入電流が大きくなっている.従来の機械式リレーでは接点障害が発生し問題になっているが,リレーの代わりにサイリスタを使用することで突入電流に対応するという.バイポーラ構造のサイリスタとパワーMOSFET を並列に接続し,定常電流になったらFET に切り替えることで,よりスマートな制御ができる.

 

●デジタル信号入力4チャネル高効率AB級アンプ(STマイクロエレクトロニクス

TDA7803Aは,低出力時にはA B 級よりも効率がよいSB-I 級を使用している.最大出力は43W×4で1Ω負荷にも対応し,I2 S / T D M 信号がオーディオ源として入力できるのでコンパクト化にも貢献する.音質はD級アンプよりも芯があって,輪郭が明確な傾向とのこと.

 

● レゾルバ励磁用アンプ (日清紡マイクロ デバイス

NJU 7870 シリーズと77903シリーズ,NL3911 / N L 3912( 開発中)は,モータの回転角度検出で回転子を駆動するためのアンプIC.レゾルバの駆動用に正弦波で100 m A 程度の出力ができ,サーマル・シャットダウンや電流制限機能も備えている.歪が小さく出力電流容量も大きいので,他のアプリケーションにも使用できそう.

 

●M5Stackを用いたサーモグラフィビジョン(ホログラム

A R( 拡張現実)/ M R(複合現実)/VR(仮想現実)と呼ばれる,現実の空間と仮想空間を融合させるX R( クロスリアリティ)の活用が進んでおり,XREALのARグラスやMicrosoftのHoloLensに加え,AppleがVision Proをアメリカで発売したことで,ますます弾みがついている.ダンボール製一眼MR グラスなど,ウェアラブル・デバイスをより身近にするさまざまなアイテムを製造販売しているホログラムは,M 5 Stack を用いたサーモグラフィビジョンを展示.XR を身近に実現できるデバイスが期待される.

 

●Arm Cortex-M0内蔵の3相モータ・ドライバ (インフィニオン・テクノロジーズ

IMD 700 A/IMD 701 A は,Arm Cortex-M 0 内蔵の3 相モータ制御ゲート・ドライバで,ブラシレス・モータや永久磁石同期モータを使用した電動工具や無人搬送車などに最適なモータ・コントローラ.多数の周辺回路を内蔵し,FOC制御アルゴリズムの採用により高効率で制御できるほか,機器の小型化やEM(I Electromagnetic Interference)などにメリットがある.

 

●SiCを使用したハーフブリッジ・パワー・モジュール (Apex Microtechnology

Apex Microtechnologyは,最高連続出力電流40 A,電源電圧2500 V までをカバーする高精度パワー・アナログ・オペアンプ・メーカで,医療機器や航空/防衛機器に長年の実績がある.S A 111 P QはS i C を使用したハーフブリッジ・パワー・モジュールで,連続出力電流32 A,電源電圧650 V,1 MH z のスイッチング周波数を誇り,MRI や磁気軸受,モータ駆動などに多数実績がある.

 

ライター:武田洋一

本記事はトランジスタ技術20244月号に掲載されたものです.