ものづくりの要素技術,大集結!TECHNO-FRONTIER 2023(その1)

ものづくり技術の総合展示会「T E C H N O – F R O N T I E R2023」が,2023年7月26日~28日の3日間,東京ビックサイト( 東京都江東区)で開催された.その中から,電源システム展とパワーエレクトロニクス技術展の注目製品をピックアップして紹介する.

 

パワー・デバイスのスイッチング観測に!高分解能オシロスコープ

岩崎通信機は,パワー・デバイスの静特性・動特性の測定をデバイスに応じて高分解で正確に測れる測定器を展示.高分解オシロのDS- 8000 シリーズは,パワー・デバイス用スイッチング解析ソフトウェアをプラグインでき,広帯域1GHz,5GS/sサンプリングが可能.静特性測定用カーブトレーサCS-8000シリーズや,1.5GHz/180dB CMRRの豊富なプローブで評価が進む.

 

モーター制御&AI搭載の洗濯機デモ

STマイクロエレクトロニクスは,個別半導体やマイコンはもちろん,パワー半導体や無線内蔵マイコン,センサなどを幅広く展示.モータ制御にAI を組み合わせ,三相ブラシレス・モータの電流を検知して洗濯物の重さを推定し,最適なコースを提案する洗濯機のデモ展示が印象的だった.

 

アナログ技術をベースにしたパワエレ用各種測定器

エヌエフ回路設計ブロックは電子計測器で培った技術を基にした,再生可能エネルギ用大容量インバータや水素製造装置用直流電源装置,系統模擬交流電源などが有名だが,ブースでは,お家芸のアナログ技術をベースにした周波数特性分析器(FRA)やパワー半導体用ダブル・パルスが発生できるマルチファンクション・ジェネレータ,高速バイポーラ電源などを展示していた.

 

環境発電デバイスを使用した車両検知システム

Orbrayは,振動や動作エネルギを電力に変換する環境発電デバイスを,駐車場の車両検知システムへ利用した実機のデモを展示していた.タイヤで踏板を踏んだときの動きで発電し,空満検知情報を無線で通知する.発電デバイスでは傾きや回転,押し引きなどで発電するデバイスもラインアップがあり,IoTセンサ・システムの電源として活用が期待される.

 

1Uサイズで最大20chが測定できるSMU

キーサイト・テクノロジーは,オシロスコープやスペクトラム・アナライザなどの標準的な測定器の他に,1U ラック・サイズに最大20 ch のSMU(ソース・メジャー・ユニット)を内蔵できるPZ2100Aシリーズを展示.モジュール間の同期も50 ns 未満と高速で,DCから高速なダイナミック測定も可能.半導体工場や太陽電池メーカなどに多数実績があるそう.

 

ESD/EMIの自動可視化システム

Quadceptは,GoogleやAppleなどで導入されているシリコンバレー発の最新鋭のESD/EMI の自動可視化システムAPI SmartScanを展示.ロボットによる自動化でノイズ源やESDの影響を可視化できる.アプリケーションの活用で近傍界・遠方界変換が可能.

 

帯域4GHz,20GS/s,12bit ADCの最新オシロスコープ

SIGLENT Technologiesはここ5~6年で急成長した新進気鋭の中国の測定器メーカ.スペクトラム・アナライザ,ネットワーク・アナライザ,RF信号発生器およびオシロスコープは幅広いバリエーションがある.最新型オシロのSDS7000Aシリーズは帯域4GHz,サンプルレート20GS/s(インターリーブ),12bit ADC,メモリ長500Mpts/ch(標準)で,15.6インチHDディスプレイで4ch使用時でも4GHzを誇る.

 

極小センサヘッドの電流センサ

シチズンファインデバイスのブースでは,光プローブ電流センサという,ちょっと異色な新製品が見られた.OpECS電流センサは,光ファイバの先端に特殊な磁性膜を設けた構造で極細の非接触電流センサ.パワー・トランジスタのモールドの上から電流波形が測定できたり,パワー・デバイスのボンディング・ワイヤやバスバの電流波形が観測できる.

 

GaN/SiCの波形観測ができるIsoVuプローブ

テクトロニクスのブースでは,光アイソレーションを使ったG a N /S i C の波形観測ができるI s o V u プローブが注目を集めていた.~1GHz,コモン・モード60 kVpeak,CMR R 16 0 d B ,最大差動入力電圧±2,500Vというスペックで,センサヘッドはバッテリや充電が不要で測定を手軽にする.