ハムフェア 2023 見学レポート (アマチュア無線フェスティバル)見学レポート

1977 年に始まったアマチュア無線の祭典「ハムフェア」は,今年で45 回目を迎えました.今年は「さあ行こう!アマチュア無線の新時代」をテーマに,8 月19日~20日の2日間,東京ビッグサイトで開催され,延べ43 , 000 名が来場しました.参加クラブは145,合計182 の団体が出展し,国内・海外から年齢層は高いものの,ご夫妻や家族連れでの来場が見られました.

 

展示物1 AX.25に誤り訂正を追加したFX.25

 

現在のアマチュア無線は「アマチュア無線を活用したワイヤレス人材の育成」という総務省の政策もあり,アマチュア無線家が立ち合えば無資格者が無線設備の操作を行い交信体験ができることや,従事者免許と無線局免許が同時申請できるなど,入門者に優しくなってきました.QSLカード(交信証)もようやく電子的に交換できるようになりました.

 

展示物2 ラズパイ フルHD TV TRX

 

アマチュア無線には多くの楽しみがあると思います.無線機の自作や改造には電子的な楽しみ,アンテナには機械的な楽しみ,海外交信には電波伝搬や語学などの楽しみなどです.それぞれの分野が日々新しくなっており,最新の技術を実践する環境としても優れていると思います.

 

展示物3 STM32Fを使用した短波帯SDR

 

今回の参加では,かつてパケット通信の定番だったAX. 25をコンパチビリティを保ちながら誤り訂正を追加したFX.25,本誌でもお馴染みのArduinoやM5Stack,ESP32,新しいICを使ったトランシーバ,Raspberry Piとアナログ・デバイセズ社のPlutoを組み合わせたマイクロ波帯トランシーバ,STM32F405を3個並列にした力業の短波帯SDR 受信機,回路図や基板データ,ファームウェアをGitHubで公開したトランシーバなど,現代のインフラを使いながら,こだわりがある楽しい自作品を見ることができ,いろいろな技術開拓の楽しみはアイデア次第で健在だと感じました.

 

展示物4 50MHz AM TRCV

 

かつて100 万以上だったアマチュア無線の局数は,昨年には約37万局となり寂しい状態です.しかし根強いファンを中心に,デジタル技術の進歩やオープンソース,モジュール類の活用などのシナジーが進み,アマチュアスピリットと共に新たなアプリケーションや技術が開拓されていくと思いました.将来のワイヤレス分野の人材確保を裾野から広げるには,アマチュア無線は格好の材料だと思います.

イベントコーナの発表をYouTubeで公開中

 

フルHD TV TRX

<武田洋一>